安藤 泉 さん
アトリエにて




● 鍛金を始めたきっかけ
「最初はデザイン科に進もうかと思っていたんです。」
芸大に入る前、デザイン科を考えたりもした安藤さんですが、自分のペースでコツコツやれる仕事の方が向いていると感じ、工芸科に進まれたそうです。工芸の中でも安藤さんは漆工芸の乾漆に一番惹かれたそうですが、漆をやるには体質的にかぶれやすすぎたため、漆芸の次に惹かれた鍛金の道を選ばれたそうです。
「鍛金は、これからの分野という雰囲気があって、可能性が感じられたんです。また、たまたま大和出身の鍛金の先生がいらっしゃったこともありました。」
● 安藤さんにとって鍛金とは
「自分の夢を手の中から生み出すことを実現してくれる手段。自分の思いを形に残こせる技。」
安藤さんの創作活動にとって「残す」ということはどんな意味を持っているのでしょうか。安藤さんは古い「モノ」にひかれるそうですが、堅牢な鍛金彫刻は確かにこれから先ずっと残っていくものでしょう。安藤さんが何百年も時を越えてきた古いモノを見て、その造り手に思いを馳せるように、後の人々がそこに立ち続ける鍛金彫刻を前に、それを造った安藤さんの思いをイメージする。スケールの大きさを感じるお話でした。
● 「動物」がモチーフなのは
「動物と相性がいいようですね。人と自然をつないでくれるもの、宇宙的なものと自分達をつないでくれる窓口というか。自然に対しての思いを表現できるモチーフでしょうか。」
「残す」という中での時間的なスケールの大きさもさることながら、モチーフを通しての思いそのものもスケールが大きそうな安藤さんです。ちなみに安藤さんは身長180cmを超える身体のスケールも大きな方です。
● 作品を前にした人に一言
「ぜひ作品にさわって見てほしいですね。あと周囲の風景の一部としても見ていただければうれしいです。」
● 大和市についても一言
「車に例えると、軽四輪といったかんじでしょうか。小回りはきくけれど、満足しきれないというような。」




鍛金には火を使ったり、金属を叩いたり、荒っぽい作業が伴いますが、安藤さんの話し振りはそれとは対照的に、おだやかで優しい雰囲気が漂います。
安藤さんから、はじめは漆工芸をやりたかったという話をお聞きした時は意外な感じがしましたが、職人気質なムード、いいモノはいつまでも「残る」ところなど、工芸という分野が持つ共通項のようなものを思い出せば意外な感じは消えます。鍛金彫刻、動物のモチーフ、それらを安藤さんが手段として使い、残しても恥ずかしくないものを作りたいという思いを、私達は個々の作品から感じとってみたいと思います。



(平成11年12月/写真協力:神奈川新聞社・安藤泉さん/文責:柴田 豊)

作品集

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