平成29年度大和市さくら文芸祭「川柳の部」
平成29年度大和市さくら文芸祭「川柳の部」の受賞作品および審査員講評です。
審査員
荻原 美和子
最優秀賞 神宮寺 茂太
聞き上手淀みの栓を徐々に抜き
話が上手で受け答えも、そつがない人のようである。相手の気持ちをきちんと聞いて、話を進めるセンスの良さを感じる。下五の「徐々に抜き」が抜群。
優秀賞 井野 きっき
髪切って心も軽くする介護
病人や高齢者のお世話をするのは、気が休まる暇もなく苦労が多いもの。髪も心も軽くして生き生きと働く姿が浮かぶ。言葉を選んで軽快に詠んだ。
優秀賞 加藤 恵子
ふりむかず共に歩んで半世紀
半世紀の歳月を前だけを向いて歩いてきた夫婦。仕事や子育てをしながら、振り向く暇もなく、懸命に生きてこられたのだろう。毅然とした姿勢に共感。
優秀賞 北村 明延
また電話口車には乗るものか
電話による勧誘が増えている。巧みな話術に乗らず、冷静に対応する様子をストレートに詠んだ。顔が見えない口先だけの甘い話には乗るなという、警鐘の句。
優秀賞 小糸 藍子
折れそうな心触れない愛もある
心が折れそうになっても、そっとしておく愛があると詠んだ。核心に触れず遠くで見守るのも、立ち直ると信じているからだろう。無愛想な愛が浮かぶ。