令和元年度大和市さくら文芸祭「川柳の部」
令和元年度大和市さくら文芸祭「川柳の部」の受賞作品および審査員講評です。
審査員
荻原 美和子
最優秀賞 東 晢子
解放へ動かぬ拉致の身を案じ
北朝鮮の工作員により拉致された多くの日本人が未だに解放されていない。肉親の帰りを待つ家族の思いはいかばかりかと思う。解決の糸口が見えぬ寒い現実。
優秀賞 斉藤 一歩
百歳へ若さ漲る好奇心
百歳を視野に入れた元気な作者。年齢を重ね好奇心が旺盛で、若々しくお洒落な人柄が浮かぶ。「若さ漲る」の表現も巧みで、下五とうまくマッチした。
優秀賞 田中 康子
ダイエット今年こそはと神頼み
女性ならダイエットをしたいと思うだろう。何度も失敗をして、今は神頼みしか残っていない様子。本気度は分からぬが、神様もお手上げの頼みごとだろう。
優秀賞 林 宏子
禁酒中ときおり忘れ虎になる
酒好きの夫を妻が詠んだと解釈した。どちらにも受け止められるだろう。上五で興味を引き、中七でおとぼけを見せ、下五で困らせる表現が笑いを誘う。
優秀賞 増田 千賀子
温暖化少女の危惧がつきささる
十六歳の少女グレタさんが気候の危機を訴え、温暖化対策に消極的な大国に涙の講義をしたのは最近のこと。日本の対策もはっきりと見えず、気掛かりな日々。