田中八幡宮天然理心流奉納額
天然理心流は遠江国(静岡県)出身の近藤長裕(こんどうながみち)を初代とする江戸時代後期の剣道の新興流派で、直流の四代目には新撰組隊長近藤勇(こんどういさみ)がいます。この頃、庶民が剣術を習うことが流行し、市域でも保田司之助易早(やすだつかさのすけやすはや)など極位を与えるほどの人物が現れました。易早は直流二代目近藤方昌(こんどうのりゆき)の弟子である桑原昌英(くわはらしょうえい)の流派に属しており、市域の天然理心流は昌英・易早を中心に展開していきました。額の大きさは縦91センチメートル×横153センチメートルで、額面に記された奉納関係者一覧より、流派の広がりを知ることができます。また、額には二振の木刀が飾られていた跡が残っています。