所信表明

更新日:2023年06月01日

所信表明について

 令和5年6月大和市議会第2回定例会(6月1日本会議)において、古谷田市長が所信表明演説を行い、市政に対する所信を述べました。

 

<所信表明全文>

 本日、令和5年6月大和市議会第2回定例会が開催されるにあたり、私の市政に対する所信の一端を申し述べ、今後の市政運営に向け、議員各位、市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 

 私は、去る4月23日に行われた大和市長選挙におきまして、市民の皆様の信託を受け、市政運営の重責を担わせて頂くこととなりました。昭和43年、大和市に生まれてから今日まで大和市で暮らし、学び、そして働いてまいりました。この間、多くの人に育てられ、多くの人の支えを受けたことにより、今の私があることに感謝し、大和市に恩返しをしたいという思いで、この場に立っています。私は、子どもから高齢の方まで、立場や境遇に関わらず、全ての人が楽しく、笑顔あふれ、心と体に加えて、社会的にも幸せな状態、いわゆるウェルビーイングが実感できる大和市を目指してまいります。

 ここ数年は、新型コロナウイルスの流行や不安定な海外情勢などが、市民の暮らしをはじめ、事業者や企業の活動に非常に大きな影響を与え、多くの人が不安を抱えている状況が続いています。また、近い将来において発生する切迫性が指摘されている大規模地震、さらには人口減少期への対策など、様々な課題が山積しており、それら一つずつについて適切に、そして迅速に対応することが求められています。

 今回、出馬にあたり色々な方のお話を伺いました。その中でも、特に心に刻むべき話がありました。かの松下電器産業、現在のパナソニックグループを築き、晩年には松下政経塾を立ち上げた松下幸之助氏に関する話です。彼は、新しく開発した製品について、どこが便利か、どんな新しい機能があるかを説明する社員に対して、関西弁で「それだけでっか?」と問うたのだそうです。どれだけ新たな機能を搭載しようが、どれだけ性能を向上させようが、その製品が目の前の課題を解決することだけを目的に開発されるのでは十分ではなく、どのように喜ばれるのか、2年後、3年後にどのように世の中の役に立つのか、さらには、その商品を使った人々が、10年後の社会をどのように変えていくのかまで考えなければならない。そのような信念に裏打ちされた問いかけであったのだろうという話でした。

 この話を伺ったときに、私自身が預かる市政運営において、決して忘れてはいけない、持ち続けなければいけないとても重要な視点でもあると感銘を受けました。

 一例を挙げますと、誰もが願う基本的なこととして、「健康」がありますが、私は、これを予防医療の観点から強化してまいりたいと考えています。そのためには、生活習慣の改善において、運動、スポーツが重要となります。私は、ある程度の年齢になってから体を動かすのではなく、幼少期から「体を動かすことが楽しい」「うれしい」と感じてもらえるよう、これまでも事あるごとに、子どもたちに運動やスポーツの大切さを訴えてきました。5年後、10年後、その子どもたちは青年、そして大人になり、さらに年を重ねていきます。幼少期に身に付けた運動やスポーツが、いずれ生活習慣の改善、フレイル予防、ひいては人々との交流による孤独、孤立の防止、社会性を育むことができる居場所づくりへとつながっていきます。私は、このような取り組みが、将来の大和市の礎を築くための新しい一歩になると考えております。

 

 それでは、これからの4年間の市政運営に向けて、述べさせていただきます。

 まずは、新たな市役所の扉を開くため、大きく三つ、申し上げます。

 私は、市民の皆様一人ひとりが幸せを実感できる新時代を目指し、その第一歩を踏み出してまいります。市政運営の中心は市民の皆様です。市民の、市民による、市民のための大和市政を創り上げていきたいと考えています。

 そのためには、まず、市民の声を聞くことが必要です。どのような意見、考えがあるのか、多くの人が望むことが何か、少数意見の中にも市政に反映すべき意見はないか。そのような視点でいただいた意見を精査し、政策につなげる部署を新たに設けてまいります。

 そして、もう一つは、現在実施している約1,000の事務事業を検証し、地方自治体が行うべき業務、行う必要のない業務、行うべき業務でありながら行われていない業務等の現状把握を行い、行うべき業務を適切に実施する自治体に戻してまいりたいと考えています。その際、一人ひとりの職員が、現在を容認するのではなく、第三者の視点を持ちながら再確認し、ボトムアップによる検証を行ってまいります。

 三つ目といたしましては、皆様ご存じの通り、市民生活は大和市内で完結するものではありません。平常時においては、市民生活を豊かに、そして利便性を高める取り組みなど、非常時においては、市民の安全、安心を高める取り組みとして、今後、どのような広域連携を図ることが必要か研究し、他自治体との連携を図ってまいります。

 

 次に、市民生活に関わりのある分野別に四つ、申し上げます。

 一つ目は、災害に強いまちづくりです。

 近年、様々な大規模地震の切迫性が指摘されていますが、中でも、今後30年以内に発生する確率が70%と高い数字で「南海トラフ地震」と「首都直下地震」が予想されています。大和市域には活断層がなく、液状化のリスクも低いとされていますが、災害に対して備えすぎはないと考えます。これまでも官民問わず、様々な協定を締結しておりますが、引き続き更なる協定締結を進めるとともに、災害時に支援を必要とする人を対象にした個別避難計画の作成につきましては、対象者の状況ごとに緊急度を分類し、モデルケースとして計画を作成し、得られたノウハウを活かして取り組みを進めてまいります。

 二つ目は、未来を担う子どもたちに関する政策です。

 コロナ禍により、さらに注目された言葉に「レジリエンス」があります。つらい体験やストレス、不利な環境にうまく適応したり、精神的なダメージから回復したりする力のことで、心の弾力性を意味しています。社会に出ると色々な環境、出来事に遭遇します。その時に困難を乗り越えられる力を身に付けた人に育てるため、この名を冠した「レジリエンス教育」を自然の中の体験活動等を通じて推進してまいりたいと考えています。イギリスには、「穏やかな海は良い船乗りを育てない」ということわざがあります。困難を乗り越えてこそ、人は成長するということを表した言葉です。人間が抗うことができない「自然」という存在の一端に触れ、五感を様々に刺激することは、子どもたちにとって貴重な体験となるものと捉えています。

 成長期の子どもたちにとって、学校給食は心身の健全な発達に資する大きな役割を持つほか、食事のマナーや食事の大切さを学ぶ場です。そのため、新鮮な地場農産物を用いた地産地消に取り組むとともに、日常生活における食事の大切さなどについて正しく理解することにつなげ、その充実を図ってまいります。

 三つ目は、福祉政策です。

 家族構成や地域コミュニティの変化に伴い、育児や介護、生活困窮など、複数の福祉的な課題を抱えた家族が散見され、これまでの障がい、介護、高齢者など、課題ごとの組織では十分な対応が行えなくなってきています。そのため、子ども、障がい者、高齢者、生活困窮者など、複数の福祉的な相談について、断らない総合相談窓口の設置を進めます。また、これまで分野ごとに市民相談を受ける組織を整備していますが、複数の課題を抱える家族に寄り添い、適切に対応していくためには、相談組織の横の連携に加え、市役所の所管組織もつながることが必要です。相談組織と市役所の縦横の連携を図ってまいります。

 四つ目は、地域経済の活性化です。

 市民、大和市を明るくするために、地域経済を活性化してまいります。

 まず、「エンターテインメント」をキーワードに、多くの市民が明るく楽しく笑顔で交流できる大和市を実現するため、新たなイベントの開催やシティブランディング、SNSを活用したシティセールスなどに力を注いでまいります。加えて、地域経済の活性化を図るため、改めて市内商工業者の支援を積極的に推進するとともに、新たなチャレンジを応援するため、市内における創業支援や第二創業支援を行ってまいります。

 また、スポーツには、「するスポーツ」だけではなく、「見るスポーツ」「支えるスポーツ」と色々な側面があります。そして、その効果は、健康増進や青少年の健全育成、地域コミュニティの形成など、とても幅広いことがわかっています。このことから、活気あるまちづくりを進めるため、楽しむものからトップスポーツまで、幅広く「するスポーツ」を支援するほか、「見るスポーツ」「支えるスポーツ」として、地元ゆかりのチームを一丸となって応援する機会を設けるなど、スポーツの振興に力を注ぎ、市民の皆様の交流とにぎわいの創出につなげてまいります。

 地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「脱炭素社会」「カーボンニュートラル」、そして大量生産、大量消費の経済活動を脱しての循環型社会の実現は、もはや費用対効果で判断することができる状況にはありません。地方自治体として、これまでも取り組んできたごみの減量化、太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用を進めるほか、これまで未活用だった資源の有効活用についても可能性を探ってまいります。

 

 以上、主要な施策につきまして、私の考えを申し述べてまいりましたが、厚木基地につきましては、航空機の騒音被害や、まちづくりへの支障など、本市に様々な影響を及ぼしていることから、基地に起因する諸問題の解決と市民負担の解消に向けた取り組みを進めてまいります。

 そのためにも、本市と厚木基地との間で、各種交流事業等を推進し、相互理解を深め、活発な意見交換や円滑な情報共有等を図り、災害時における連携強化等につなげるなど、厚木基地との更なる関係構築にも取り組んでまいります。

 大和市は、様々な課題を抱えており、さらには、自然災害の発生や、想像し得なかった新型ウイルスの流行などのように、今後も予期せぬ出来事が起こるやも知れません。私は、いかなるときも市民の生命を守り、安全、安心な暮らしを提供することは、地方自治体の使命であると考えております。

 この使命を果たすため、議員各位をはじめ、市民の皆様のご理解、ご協力をいただきながら、新たな大和市づくりを一歩一歩着実に進めてまいる所存でございます。

 議員各位におかれましては、ご指導とお力添えをいただきますよう心からお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。

 

令和5年6月1日 所信表明(PDFファイル:431.6KB)

 

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