静岡県熱海市豪雨災害に伴う緊急消防援助隊派遣報告
2021年7月13日

大和市消防本部は、静岡県熱海市で発生した土砂災害の行方不明者の救助活動にあたるため、7月10日から12日まで、隊員4名を派遣しました。帰庁した翌日となる13日には、市役所本庁舎5階の研修室で、大和市長に活動報告を行いました。
7月1日から3日は、梅雨前線の影響で断続的に雨が降り続き、静岡県の複数の地点で72時間降水量が観測史上1位の値を更新。記録的な大雨となりました。この豪雨によって3日の午前、同市伊豆山で大規模な土砂崩れが発生し、被害棟数は131棟(128世帯、216名)、死者は10人(いずれの被害も7月12日午後7時熱海市発表)となり、発生から1週間以上たった現在でも、17人が行方不明のままとなっています。
今回の災害で、静岡県知事は消防庁長官に行方不明者救助の協力のため緊急消防援助隊の応援を要請。消防庁長官は神奈川県に、他県に先駆け応援隊を向かわせるように指示をしました。大和市は県からの連絡を受け、10日から車両1台と隊員4人を派遣。緊急消防援助隊神奈川県大隊第4次派遣隊として、大和市を含む県内の消防職員181人が、救助活動にあたりました。
派遣隊として集まった隊員は、厚木市の消防学校で合流したあと、午前10時に出発。現在も土砂災害の危険性が高い海沿いのルートを避け、伊豆縦貫道を通り、熱海市の北側から現地入りしました。時刻は午後3時30分。夕方にさしかかろうという時刻でしたが、早々に救助活動に着手しました。しかしながらこの日は、歩くだけでも足が埋もれるため、足場を整える作業で終了となりました。
翌日は午前4時に起床し、作業にあたりました。隊員は、3グループに編成され、30分交代で活動を実施。ヘルメット、カッパに胴長靴、ゴム手袋にマスクを着け、スコップを手に泥をかきだします。作業のほとんどは手作業となり、掘り出した泥はバケツリレーで運ぶことに。上空には常にヘリコプターやドローンが飛び、救助犬も投入されるなど、できる手段をすべて投入して行方不明者の手掛かりを探します。
3日間を通し、救助作業の隊員を悩ませたのが、この時期特有の高温多湿な気候です。30度を超える日も珍しくなく、最高では36度に。厳しい環境下に、胴長靴には、足がふやけるほど汗がたまりました。また、11日には、地面の傾きなどを検知するセンサーが2回作動し、土砂崩れの二次災害が発生する恐れから、捜索活動の中断を余儀なくされました。最終日となる12日も同様の作業を続け、午後2時20分に活動を終了。他県の緊急消防援助隊に引き継ぎを行い、現場をあとにしました。
今日の午前10時から開催された活動報告には、大木 哲・大和市長のほか、両副市長、消防長、帰還した隊員4名などが出席。被災地の状況や捜索活動の詳細について、現地の写真を使用して報告しました。隊員たちは、「被災地の状況は、テレビで見聞きしていましたが、現地はそうした情報や自身の想像を、はるかに上回っていました」、「2年前に派遣された土砂災害の現場での経験が生かせました」、「被災者の皆さんからお礼を言われましたが、行方不明者を見つけられず、無念な思いです」と救助活動の感想をそれぞれ話しました。大木市長は、「災害が発生したとき、市民の皆さんの頼りは消防士です。今回の災害救助活動は、今後、皆さんの糧になると思います。これからも使命感を持って頑張ってほしい。そして、一人一人の方に感謝します」と隊員の活動をねぎらうとともに、握手の代わりとなる「ひじタッチ」を、隊員一人一人と交わしました。
1.派遣日時
令和3年7月10日(土曜日)から7月12日(月曜日)
2.派遣先
活動拠点
静岡県熱海市 姫の沢公園(静岡県熱海市伊豆山字姫の沢1164-1)
活動場所
静岡県熱海市伊豆山地区
3.派遣スケジュールの詳細
- 10日(土曜日)
- 7時 結隊式
- 7時10分 出動
- 10時 神奈川県消防学校出発
- 12時 熱海市活動拠点(姫の沢公園)到着
- 15時30分 土砂崩れ現場到着
- 17時 活動終了
- 11日(日曜日)
- 4時 起床
- 4時50分 出発
- 6時45分 活動開始
- 9時38分 緊急退避(土砂崩れの反応)
- 14時 緊急退避(土砂崩れの反応)
- 15時15分 活動終了
- 16時40分 ミーティング
- 19時 宿営地帰還
- 12日(月曜日)
- 4時 起床
- 4時20分 出発
- 6時45分 活動開始
- 14時20分 活動終了
- 15時20分 現場引揚
- 20時20分 大和市消防本部到着
4.活動報告会
令和3年7月13日(火曜日)午前10時~11時
問合せ先
大和市消防本部 警防課(消防本部庁舎2階) 電話番号:046-260-5776
更新日:2022年02月01日