搬送まで救急救命士が命をつなぐ「在宅救急隊」を組織

更新日:2022年02月01日

2021年9月2日

在宅救急隊

大和市消防本部は、8月19日、新型コロナウイルスの感染者の搬送先が決まらないという事態に備え、在宅で待機する間、傷病者をケアする「在宅救急隊」の試験運用をスタートさせました。そして、昨日となる9月1日、正式運用が始まりました。

国内の新型コロナウイルスは、現在、これまでのウイルスとは別物と言われるほど感染力の高いデルタ株に置き換わりました。その結果、8月の1か月間で約55万人の陽性者が発生する感染の「第5波」が訪れています。大和市でも8月の陽性者数は1,600人を超え、比例するように市内の医療体制が徐々にひっ迫傾向へ。救急搬送先の病院がすぐに決まらなかったり、遠方へ搬送したりといったことが、徐々に増えてきています。

市消防本部は、こうした状況を受け、8月19日から6隊の救急隊に1隊を追加し、現在は7隊による救急体制としています。搬送の手が回らないという局面を避けるため、部隊を増強しましたが、それでもなお危惧されるのは、「搬送先が見つからない」という事態です。

大和市では未だ発生していませんが、医療体制がひっ迫したことで、患者の搬送先が長時間決まらない救急搬送待ちが、全国各地で問題となっています。他の自治体では、救急隊が搬送できなかったり、何時間も現場に待機したりする事例が、日々起きています。

こうした状況を受け、板鼻(いたはな) 一弘・大和市消防長は、搬送先の医療機関が決まるまでの間、救急隊に代わって患者を在宅でケアする、「在宅救急隊」を組織することを決定。8月19日から試験運用を開始しました。市内の感染状況を注視しながら、出動の手順や連絡体制に不備がないかの確認を行ってきましたが、市内の陽性者は高止まり傾向が継続。今後、部隊の必要性は高まるものと判断し、9月1日から正式な運用を開始しました。なお、運用期間は特に定めず、当面の間としています。

在宅救急隊は、救急救命士の資格を持つ日勤の隊員3名で編成され、搬送先が見つからない際に、現場の救急隊からの要請を基に出動します。酸素吸入器などの医療資器材を載せた支援車両(消防用広報車)で向かい、現場の救急隊と交代。在宅救急隊が、患者の自宅などで酸素吸入等の救命処置や経過観察などを行い、その間、救急隊は他の傷病者を搬送する体制へと戻ります。在宅救急隊は、救命処置をしながら引き続き搬送先を探し、決定後は改めて救急隊が出動して、患者を搬送します。

この取り組みにより、救急隊が長時間一つの現場に滞留することを避けることができるため、新型コロナウイルスの患者だけでなく、より重篤な症状の方の搬送をトリアージすることができます。なお、試験運用中に在宅救急隊が出動する機会はありませんでしたが、平常時は救急隊と医療機関との連絡を密に取ることで、陽性患者を速やかに搬送できる体制となるよう、サポートしています。

板鼻消防長は、「新型コロナウイルスとの戦いは先が見えません。市民の皆さんの命を守るため、部隊を増やすだけでなく、危機的状況となる前に在宅救急隊を組織しました。今後も、感染状況を注視し、市民の安心安全の確保に努めたいです」と話しています。

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