令和4年度こども体験事業
こども体験事業とは
「こども体験事業」とは、大和市内の小学5・6年生、中学生を対象に、青少年の企画力、行動力、リーダーシップなどを育てる体験事業を行うことにより、人間性豊かで主体的に活動できる青少年を育成することを目的として、平成26年度より実施している事業です。
この事業は、大和市青少年健全育成基金を活用して、実施しています。
また、事業実施にあたり、公募で集まった青年と関係ボランティア団体から推薦された方々で構成される「こども体験事業実行委員会」を立ち上げ、事業内容の検討や、宿泊・事前事後研修の運営等を行っています。
令和4年度 こども体験事業事前研修~宿泊研修
令和4年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、3年ぶりの縮小開催となりましたが、小学5年生6名、6年生6名、中学生8名の合計20名が市内の小中学校から集まりました。
東日本大震災から11年がたち、震災当時はまだ生まれていない参加者もいます。
東日本大震災を知らない、覚えていないけれど、どんなことが起こったのか知りたい、過去にこの事業に参加し、改めて被災地の復興の様子を見に行きたいという小中学生が応募してくれました。
8月7日~9日の3日間で、津波の被害が甚大であった岩手県陸前高田市を訪問しました。
この研修をとおして学んだことを、事後研修でまとめて、11月26日に行われる「大和市青少年健全育成大会」での発表につなげます。
事前研修7月10日・7月17日・7月31日
事前研修では、宿泊研修に向けて陸前高田市の地理や被災状況、地震や津波の基礎知識などを学習しました。
また起震車で震災当時の揺れがどのくらいのものだったかを体験したり、当時現地で被災された方や救助に行った消防士の方のお話を聞いたりすることで、東日本大震災やその後の復興について学び、参加者一人ひとりが宿泊研修に向けての目標を立てました。
現地で出会う人に質問したいことや、見学予定の震災遺構で見てみたいことなど、自分が宿泊研修で何を学んでくるのかを具体的に考えることができた研修となりました。
活動内容
・アイスブレイク(初めて会う参加者同士の交流活動)
・こども体験事業についての説明
・陸前高田市について(講義)
・東日本大震災についてのDVD視聴
・青年実行委員やゲストティーチャーによる震災体験談
・うごく七夕まつりに向けて映像視聴、かけ声の練習
・個人目標の設定
・起震車体験
・陸前高田市長や現地の方々への質問検討 など
宿泊研修8月7日~9日 2泊3日
2泊3日の宿泊研修に、小学生10名、中学生7名の計17名が参加しました。
日程と活動内容
1日目(8月7日)
・防潮堤の献花台に献花、奇跡の一本松見学
・うごく七夕まつりに川原祭組の一員として参加
2日目(8月8日)
・戸羽太陸前高田市長を表敬訪問、講話
・震災遺構米沢ビルに登って、米沢氏の震災講話
・長洞元気村で炊き出し体験と仮設住宅見学
3日目(8月9日)
・東日本大震災津波伝承館ガイドツアー
・鶴亀鮨にて店主の被災体験講話と海鮮丼の昼食



参加者の感想
・献花台のある高さ12.5メートルの防潮堤に登ると、とてもきれいな海が広がっていました。陸前高田の海がこれからもきれいでいてほしい。心から思いました。
・献花を終えて見に行った陸前高田市で有名な奇跡の一本松は、写真で見るよりずっと高く、まるでこの市を支えているようでした。かつてここには約7万本も松の木があったそうです。東日本大震災の津波で一本だけになり、またその一本も枯れてしまったと聞き、津波の恐ろしさがわかった気がしました。
・「うごく七夕まつり」は、みんなで山車をひいたり、かけ声をしたりしてとても楽しかったです。3年ぶりの開催で、太鼓をたたく人も気合が入っていた気がしました。すると自分も力が入って大きな声が出ました。また他の人達も楽しそうで、山車の上で紙の木の葉をぶつけ合っていたところが伝統的な文化だと思いました。七夕まつりは人と人をつなげるもので、だから震災の後もまつりをやっているのだと思いました。
・二日目、震災時から陸前高田市の市長をされている戸羽市長を表敬訪問し、お話を伺いました。地震の後、1メートルの津波が来ると聞いて大丈夫だと思っていたら、実際は15メートルの津波が来てしまったそうです。津波は恐ろしいので油断してはいけないということがわかりました。
・米沢さんが助かった、煙突の上の一番高い所に、実際に登らせてもらい、津波がどのあたりまで来たかがよくわかりました。津波の規模がとても恐ろしいものだということが伝わり、「落ちたら死んでしまうほど高い場所にいるのに、この足元のところまで津波が来たなんて。」と思い、とても驚きました。
・長洞元気村で、私は一人のおばあさんにお話をうかがうことができました。その方は、震災当時は小学校の教師だったそうです。大きな地震で動揺している児童たちを落ち着かせ、急いで避難させたと言っていました。おばあさんの小学校で津波の被害にあった児童、教師はいなかったそうです。命を守るために日頃から避難訓練を行っていたと聞き、災害時に素早く安全に行動することができたのだと思いました。
事後研修 8月20日・9月4日・10月23日・11月5日
4回にわたり行われた事後研修では、宿泊研修で学んだ事を仲間と共有することで、お互いに深め合い、より実りあるものとし、最終的に市民の皆様に成果を発表することを目的としています。
はじめに、宿泊研修で参加者それぞれが学んだことや感じたことについて、参加者に自宅で書いてもらった作文の下書きを清書しました。
それと併せて、現地でお世話になった川原祭組、長洞元気村、鶴亀鮨の方々に、感謝の気持ちを込めて寄せ書きを作成しました。
次に、自分たちが学んできたことを、友達や家族、そして市民の皆さんに広く伝えるため、宿泊研修での体験をもとに活動報告パネルを作成しました。
活動報告パネルは、「仮設住宅と鶴亀鮨」「津波伝承館と復興祈念公園」「市長講話と長洞元気村」「うごく七夕まつりと米沢ビル」の4つのテーマで、班ごとに協力し合ってまとめました。
これらのパネルは市内小中学校などに巡回展示され、多くの児童生徒に見てもらっています。
事後研修の後半では、11月に開催される「大和市青少年健全育成大会」の中での発表に向けた練習を行いました。
発表のセリフは、作文や活動日ごとに書きためた振り返りノートの中から、参加者自身の言葉を選び出して、青年実行委員がシナリオを作成しました。
また、現地で出会った方々のお話や体験から、子どもたちが感じたこと、学んだことを伝えたいという思いで、宿泊研修の様子がわかる映像をパワーポイントで作成し、当日はその映像を背景に発表します。
参加者は、セリフに込められた思いがより伝わるように、声の大きさや速さ、抑揚の付け方などを意識して、本番に向けて何度も練習を重ねました。
活動内容
・作文
・宿泊研修でお世話になった方々へ寄せ書きの作成
・活動報告パネルの作成
・活動報告発表の練習
活動報告発表
活動報告発表は、第50回大和市青少年健全育成大会の中で行われました。
前日のリハーサルでは、少し緊張した様子でしたが、本番当日は満員の観客の前で、
堂々と発表することができました。
自分が、現地で見てきたこと、聞いてきたこと、感じたことを伝えたいという思いは、見に来てくださった方々に届いたことでしょう。
この5か月にわたる体験活動で得たことを、仲間とともに多くの人に伝え、これからの活動に生かしてくれることを願っています。
令和4年度の「こども体験事業」参加者募集のお知らせ
今年度の募集は終了しました。
更新日:2025年03月27日