令和5年度大和市さくら文芸祭「俳句の部」

更新日:2024年04月09日

令和5年度大和市さくら文芸祭「俳句の部」の受賞作品および審査員講評です。

審査員

梶原 美邦

最優秀賞 堀場 美知子

側転の少女の回す大花野

側転は脚を開いたまま両手を横につき倒立して一回転し、立つ体操。少女は余りの美しい花野に側転し、貴女を一回転させましたと、はにかみの挨拶をした。

優秀賞 安齋 行夫

慣れて来しホームの暮らし水温む

老後は持ち家やマンションの一室を借りて住むのも困難。そんな時、老人ホームが最適である。「水温む」がホームでの暮らしを象徴的に語っている。

優秀賞 近藤 昭子

線香の確かな香り秋袷

袷は裏地のある着物。秋冷のある日の墓参に線香の煙の染みを確り袷が留めていた。家に帰って着替える時、その線香の香に亡き人との思いの深さを感じた。

優秀賞 坂野 光山

夢うつつ気は南方にかじけ鳥

かじけ鳥のかじけはやつれる・かじかむ等の意。かじけ鳥は冬鳥。漂鳥が留鳥になったのだろう。寝ても覚めても故郷を思う、生気のない姿に見えてくる。

優秀賞 竹岡 広仁

燃え上がる枯葉の中のラブレター

嘗て思いもかけない恋文をもらい、大切に保存してきたが、今となってはと思い、焚火の際、枯葉の底に秘め、火を点けた。文は昔の想いの炎を上げた。

優秀賞 竹岡 美恵

ややこしい話ほぐれる春炬燵

こみいった複雑な話をしていると、出口のないところまできた。沈黙がしばらく続く。炬燵が段々温かな気持ちを呼び起こす。解決の言葉を一人が発した。

優秀賞 出来 典子

口中に野の匂ひ満つ蓬餅

草餅を作ろうと野に摘みに行く。草はそれぞれの香を放っている。野草の中でも蓬はゆかしい。摘んで家に帰り、蓬餅を作り、野の香を思い切り頬張ってみた。

優秀賞 中村 みき子

丸くなりし兄と語らふ十三夜

兄さんは「十三夜」のようだねと言うと、はにかんだ。昔は父に似て頑固であったが、今はその気骨も、少々欠けの残っている月の様に穏やかになった。

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