令和7年度第1回認知症多職種協働研修を開催しました
認知症のある人の意思決定支援をささえる
~専門職が使う言葉からうまれる“へだたり”に気づく~
講師:北里大学病院精神科部長 大石智氏
令和7年度第1回認知症多職種協働研修は北里大学北里研究所病院 精神科部長の大石 智先生を講師としてお迎えし、「自分の中にある認知症に対する先入観やスティグマ(偏見)が認知症のある人との"へだたり”を生じさせる一因になっていないか」をテーマにこれまでの自分のかかわり、ケアを振り返り、この先の支援を考えることを目標に実施しました。
研修はワークシートを使い
「日頃、自分は人の話を聞くことが出来ていると思うか?」
「人と関わるときに心がけていることは何か?」
講師の話を聞いて
「これから心がけたいことは何か?」
日頃の自分のかかわり方について言語化しグループで共有しました。
聞いて・考えて・書いて・語る
今回の研修で使用したワークシート
自分の行為を振り返り、語り、共有する「省察的な実践」を行いました
グループの中で意見交換した内容を全体で共有しました
申込者数・参加者数・アンケート回答内訳
申込者数・参加者数・回答数内訳
今回は定員を上回るお申込みをいただきました。ありがとうございました。
(定員50名:電子申請のみ。募集受付期間:11/4~11/28)
・申込者数:53名
・当日参加者数:48名
・アンケート回答者数:29名(回答率60.4%:電子申請のみ。回答受付期間:12/2~12/9)
・内訳は左記の表をご覧ください
アンケート回答:回答者職種(%)
アンケート回答:研修を知ったきっかけ(%)
アンケート回答:研修に参加しての満足度(%)
アンケート回答:自身の持つ偏見に気づけたか?(%)
【この研修であなたの中にある認知症に対してのスティグマに気づいたか?】(抜粋)
・私自身はその人と対等な関係だと思っていたがその人にとって私たちは専門家であるというだけで、権威勾配がある関係なんだと衝撃を受けました。その人が意思を表明し実現できるように一緒に考えたいです(主任介護支援専門員)
・どうしても会話の中で「認知症は・・・」と偏見のある会話になってしまう。認知症であってもなくてもといった考え方に変わり、1人の人としてその人に関心を持って接することが大切だと感じた(介護福祉士)
・言葉の暴力性、特に支援者間で使う専門用語や省略した言葉は歪んだ本人像を作り上げてしまうことに気づけた。また、本人の心の傷に触れないようにすることも本人を傷つけることになると理解した。(社会福祉士)
※スティグマとは:偏見や差別、不当な扱いにつながる社会的なレッテル
【研修内容でこれだけは組織に持ち帰って共有したいと思ったことは?】(抜粋)
・言葉の暴力性、職員同士で話す中でも略語や専門用語を使うことで偏見を強化していることを伝え、認識したい。(社会福祉士)
・ケアする側の価値観を押し付けない。ケアする側にとって必要なケアだと判断する場合でも生命に直結しないのであれば、本人の思いを受け止め、一緒に選択しながら考える。高齢者だから、認知症だからと決めつけない。本人が思いを語れるような声掛け、接し方に努めること(看護師)
・気が付かないうちにスティグマがあることを認識していく。認知症よりその人本人を見る。生活歴や背景を大切にすること。(介護支援専門員)
【研修を受けて寄せられた感想】
・トラウマの話を初回のインテークで聞いていいと知って衝撃的だった(介護支援専門員)
・「答えのないこと」を深めていくことの大切さを感じました。先生のお話がとても楽しく勉強になりました。(主任介護支援専門員)
・これまで認知症のある人の支援に関する研修に何度も参加してきたが、大石先生のお話が一番感銘を受けました。(介護支援専門員)
【その他】
●グループワーク発表内容と講師講評の内容は参加者に対して申込時に登録していただいたメールアドレス宛に送信しています。
●今年度の認知症多職種協働研修は市内の施設で従事する※認知症介護指導者2名と認知症コンシェルジュ2名が集まり、情報共有を行いながら講師と共に研修内容について検討する取り組みを行っています。
※認知症介護指導者とは:認知症介護実践研修等について企画・立案に参画し、講義、演習、実習を担当。介護専門職に対する人材育成に関与し、自身が所属する事業所を中心に地域の指導者の役割を担う。

更新日:2025年12月25日