若い人にぜひ知ってほしい! ~プレコンセプションケアについて~

更新日:2024年11月07日

プレコンセプションケアについて

1.プレコンセプションケアとは

プレ(pre)は「~の前」、コンセプション(conception)は「妊娠・受胎」という意味があり、プレコンセプションケアは「妊娠前の健康管理」を意味し、将来の妊娠を考えながら女性やカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことを示しています。

将来のライフプランを考えて日々の生活や健康と向き合うことが、健やかな妊娠・出産や未来の子どもの健康につながります。

女性だけではなく、パートナーや家族など、多くの方に知っていただきたい概念です。

2.なぜプレコンセプションケアが大切なのか?

日本では、医療の発展に伴い妊娠・出産に関連する死亡率が劇的に低下しています。

一方で、若い女性のやせや肥満の増加、出産年齢の高齢化などによりリスクのある妊娠・出産が増加しています。また、リスクのある妊娠・出産に加えて、飲酒・喫煙の習慣、葉酸(ようさん)の摂取量の不足、月経に関する健康問題など、妊娠前の生活習慣や健康状態に関連したリスク因子による流産や早産、先天異常、低出生体重児の出生数は減っていません。

将来の妊娠を考える段階から正しい知識を得て健康的な生活を送ることで、健やかな妊娠・出産につながり、未来の子どもの可能性を広げることができます。

3.プレコンセプションケアをはじめてみましょう

(1)標準体重を維持しましょう

標準体重とはBMIが18.5以上、25未満となる体重のことを指します。

BMI=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

やせ(BMI 18.5未満)は、貧血の原因になるほか、将来の骨粗しょう症や高血圧、糖尿病、心疾患にかかるリスクにつながります。また、低出生体重(2500g未満)など、生まれてくる赤ちゃんの健康にも関わります。

肥満(BMI 25以上)により、妊娠糖尿病、妊娠高血圧など妊娠合併症のリスクが高まるほか、将来の糖尿病や高血圧にかかるリスクにつながります。また、生まれてくる赤ちゃんの肥満による疾病のリスクも上がると言われています。男性の肥満も不妊のリスクを高める場合があるため、注意が必要です。

BMIを計算し、自分自身の体重を評価してみましょう。

(2)栄養バランスを整えましょう

若い女性は、エネルギーと栄養素(タンパク質、ビタミン、鉄分やカルシウムなどのミネラル)が不足している割合が多いと言われています。食事は1日3食を基本とし、できるだけバランスよく主食・主菜・副菜を摂りましょう。

また、妊娠には栄養素の中でも特に葉酸が大切と言われています。葉酸は細胞の生産や再生に不可欠なビタミンであり、お腹の赤ちゃんにとって重要な栄養です。胎児神経管閉鎖異常の予防にも効果があると言われています。ブロッコリー、ほうれん草、納豆などに多く含まれています。サプリメントもうまく活用し、しっかり葉酸を摂るようにしましょう。

妊娠前から食生活を改善することは、妊娠しやすい体をつくるだけではなく、生まれてくる赤ちゃんの健康や大切な家族の健康につながります。

(3)適度な運動を取り入れましょう

若い女性は、仕事などの日々の忙しさから日常的な運動習慣から遠ざかってしまい、体力が低下しがちです。1週間あたりの運動量は150分ほど(毎日20分ほどの運動)が目安と言われています。運動不足と感じている人は生活を見直し、運動不足ぎみの方は今よりも毎日10分長く歩くなど、活動量を少しでも増やしてみましょう。

(4)タバコはやめましょう

タバコは様々な病気の原因となります。また、男女ともに不妊症のリスクを高め、妊娠中の喫煙や受動喫煙は流産、早産、周産期死亡、低出生体重児の出産のリスクにつながる可能性があります。出産後の喫煙も、乳幼児突然死症候群のリスク要因であると言われています。

今、タバコを吸っている女性は妊娠する前に禁煙に取り組みましょう。また、受動喫煙も健康に影響を及ぼすため、パートナーや家族とともに、禁煙について考えましょう。

自分の意志で禁煙が難しい場合は、禁煙外来などのご利用をおすすめします。電子タバコは煙が出ませんが、紙巻タバコと同様に健康への影響があるため注意が必要です。

妊娠以外にも喫煙がもたらす健康への影響、大和市内の禁煙外来は下記を参考にしてください。

(5)アルコールは適量に

女性は男性に比べてアルコールによる影響を受けやすいと言われています。妊娠前の過度な飲酒は妊娠しにくくなり、妊娠中の流産や死産のリスクを高めます。また、アルコールは胎盤を通って、お腹の赤ちゃんにも影響し、胎児性アルコール症候群(発育の遅れや中枢神経系の障害)などの先天異常のリスクを高めます。

妊娠中や授乳中の飲酒は控えましょう。

(6)ストレスと上手につき合いましょう

生活をするなかでストレスを感じ、心や体に不調を抱える方もいます。過度のストレスは不安や抑うつの原因になります。自分がストレスを感じていることに気がつく、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。

気持ちや体調に不調を感じた場合や、自分の力ではストレスが軽減されない場合は、早めに専門の医療機関を受診し、相談しましょう。

(7)感染症を予防しましょう

若い人の間で、性的接触を介して誰もが感染する「性感染症」が増えています。感染しても無症状であることが多く、治療に結びつかないケースが多くみられます。知らない間に他の人にうつす可能性があるため、セックスの際にはコンドームを使用して、感染を防ぎましょう。

神奈川県の保健所等で無料の性感染症の検査を行うことも可能ですので、ご参照ください。

性感染症の中には、不妊の原因になったり、妊娠中にかかるとお腹の赤ちゃんの健康に影響を与えるものがあります。感染症から完全に身を守ることはできませんが、ワクチンを打つことで予防が可能です。

子宮頸がんワクチンや風しんワクチンの接種をぜひご検討ください。大和市では子宮頸がんワクチンや成人風しん予防接種の一部公費助成を行っております(年齢要件や申請条件等があります)。

下記のサイトをご参照ください。

(8)健康診査・検診を受けましょう

女性は20代から子宮頸がん、30代から乳がんの罹患率が増加します。1年に1度の子宮頸がん検診、30歳からの乳がん検診などを受診しましょう。また、日常生活の中で何か気になる症状がある場合は、専門医を受診するようにしましょう。

大和市で行われている健康診査・検診に関する情報は、下記のサイトから確認することができます。

ぜひ、ご参照ください。

妊娠中、つわりによって歯みがき等のお口のケアができず、虫歯や歯周病などを発症し、お口のトラブルが悪化してしまうことがあります。妊娠中のお口のトラブルは、早産や赤ちゃんの低体重との関連が指摘されています。普段から定期的に歯科受診をして、お口のトラブルを最小限にとどめましょう。

妊娠中の方は、母子健康手帳別冊に妊娠歯科健診受診券が添付されています。

ぜひ、ご活用ください。

(9)かかりつけ医をもちましょう

現代の女性は妊娠・出産回数が減ったことにより月経回数が増え、月経に関する症状で日常生活に支障をきたす人が増えています。子宮内膜症を発症している人も多く、なかにはひどい月経痛や不妊に至る場合もあります。

また、栄養不足によるやせ型の女性も増えており、体に必要な栄養が不足しているために月経異常や無月経などが起こっています。生理が止まってしまう無月経の場合、卵巣から女性ホルモンが正常に分泌されなくなることで、骨量が低下し骨粗しょう症になってしまったり、卵巣が正常に機能せずに不妊につながってしまうこともあります。

基礎体温を測定し、自分の体のリズムを確認してみましょう。受診の際は、記録した基礎体温をもとに診察してもらってください。

月経について、次の6つの項目を確認し、気になる症状がある場合は婦人科医に相談しましょう。

(10)パートナーのことを知りましょう

パートナーとしっかり話し合い、ライフプランを考えることが大切です。

どちらか一方でも妊娠を考えていない場合には、確実な避妊法を選ぶようにしてください。避妊の失敗率は、コンドーム2~18%、経口避妊薬0.3~9%、子宮内黄体ホルモン放出システム(ミレーナ®など)0.2%と言われています。自分に合った避妊法について、かかりつけの婦人科医に相談しましょう。

お互いに妊娠を希望している場合には、成人風しん予防接種についても話し合ってみてください。

(11)人生をデザインしましょう

妊娠・出産、育児、介護、転職など、人生にはたくさんの転機があります。

まずはあなたの「理想の人生」を具体的にイメージすることから、プレコンセプションケアの実践ははじまります。

下記のプレコンセプションケア・チェックシートを活用して、まずは自分の状態を知りましょう。

3.プレコンセプションケア・妊娠に関する相談はこちら

妊娠に関するお悩みや相談、困りごとがある際は下記のサイト・相談窓口をご活用ください。

4.女性の健康コーナー

シリウス4階:健康度見える化コーナー「女性の健康コーナー」

大和市文化創造拠点シリウスの4階に「女性の健康コーナー」として女性に関するリーフレットなどを配架しています。

配架されている資料は、ご自由に手に取ることが可能です。

ぜひ、お立ち寄りください。